問題整理の仕方
変化をもたらすコミュニケーション
今回は、『問題の整理の仕方』をテーマに話を進めてみます。
「問題」という表現をしましたが、
「不満」や「要望」、「欲求」、
あるいは「課題」や「改善したいこと」といった言い方でも良いでしょう。
自分の人生において、
「変えられると望ましい」部分です。
このように色々な表現を使ったり
「悩み」や「困っていること」などと
限定したりしないのは、人によって
「問題」に対する意識の仕方が違うからです。
先日、駅のホームで電車を待っていたところ、
通りがかりの若いスーツ姿の男性が、
一緒にいた女性に話している内容が耳に入ってきました。
「俺、悩みって全然ないんだよね。
仕事は忙しくて残業も多いし、
営業が上手くいかないこともあるけど
なんとか工夫していけると思うし。
人間関係のストレスだって
休みの日に気晴らししてストレス解消ができちゃうしさ。…」
その若い会社員らしき男性には、改善していきたい部分も、
不満に感じている部分もあるようです。
ただ、そのことを「悩み」という表現にしていない。
推測ですが、その人にとって「悩み」というのは
頭を抱えて「うーん、困った、困った…。どうしよう…。」と、
しゃがみこんでしまうようなイメージなのではないでしょうか。
マンガのような表現をすれば、周りの空気が黒く渦巻いて、
「ドヨーン」という擬態語がついた雰囲気です。
また、虫歯で歯が痛くなって歯医者に行こうとしている人も
「私は歯が痛いのが悩みなんです」とは言わないことが多いように思います。
「歯が痛いので歯医者に行く」、それぐらいのニュアンスじゃないでしょうか。
逆に、目標意識や要望として意識している人もいます。
例えば、海外留学に行きたいという目標を持っている人が、
英語を話せるようにしたいと考えるようなケースや、
子供のころからの憧れだったスポーツカーを買うために、
収入を増やしたいと考えるようなケース。
どの場合も望んでいるものがあって、
それに必要な部分を変えたい気持ちがある。
現状のままでは満足できていないわけです。
不満というほど困っていないし、不快な気分があるわけでもない。
でも、もっとこうしたい。そんな望みを持っている状態です。
いずれの場合も「悩み」や「問題」として意識されてはいませんが、
自分の中に「変えられると望ましい」部分があるという意味では、
今回の話題に含まれる範囲になります。
もしかすると、「困っている」という場合には、
自分の力で対処できないような状況を考える人も多いのかもしれません。
そのような「どうしていいか分からないほど困っている」ケースから、
「人間関係にストレスはあるけど困ってはいない」ケース、
「目標に向けた課題」として意識されているケースまで、
変えられると望ましい部分の扱い方が今回のテーマです。
その視点は、カウンセラーやコーチだけでなく、
接客や営業をはじめとする、
人のニーズを把握するときに役立つものだと考えられます。
「困っていること」と「変えたいこと」の違い
まず、ここまでのところで
「変えられると望ましい」という
言い方をしている理由から説明します。
これは「変えたい」部分ではないのです。
あくまで、望んでいることがあるけれど、
満たされていない状態です。
変えたいとは限らないということです。
困っていても、不満があっても、悩んでいても
それは変えたいことと同じではありません。
例を挙げて考えてみましょう。
営業成績が上がらなくて上司から厳しく
怒られてばかりの人がいたとします。
お客様との話が上手く進まないようです。
断られることを想像すると、
訪問すること自体に気が引けてしまいます。
緊張して自信のない状態で説明をするものだから、
余計に会話もギクシャクしてしまう。
会社に帰ってくれば上司から厳しく問い詰められ、
萎縮して報告も上手くできないものですから、
上司をもっと怒らせてしまったりして。
自分が情けない気持ちになるそうです。
この人が困っていることは何でしょうか?
営業成績が上がらないこと?緊張してしまうこと?
上司から怒られることが問題なのでしょうか?
それとも、怒られたときに自分が
情けなくなってしまうのが苦しいのでしょうか?
それは、本人に聞いてみないと分からないのです。
ここで、営業の専門家であったりすると、
どうすれば営業成績が上がるかに意識が向きやすいかもしれません。
得意分野では、専門的な視点で状況を分析することができる反面、
その視点から判断しやすくなる傾向に注意する必要があります。
もしかしたら、この人は、
そもそも営業をやりたくないのかもしれません。
商品開発をしたいのに
営業に異動させられてしまったことに
不満があるのだとしたら、解決の方向性は営業成績とは
全く違った方向になる場合も考えられます。
ですから、困っている状況や満足できない状況があったとき、
まずは『何が困っている部分なのか』を整理していく作業が求められます。
それは言い換えると、『本当は何を望んでいるか』ということでもあります。
営業成績を上げて収入を増やし、
スポーツカーを買いたい場合もあるでしょう。
この場合には、「本当に望んでいること」と
「変えたいこと」が同じ方向を向いています。
「困っていること」から、すぐに「変えたいこと」が思い浮かぶはずです。
一方、状況や気持ちが複雑に絡み合っていることもあるものです。
本当は営業をやりたくないものの、
生活のことを考えると転職するほどの気持ちはないし、
会社には残っていたいけど厳しい上司の下で
怒鳴られ続けるのは耐えられない…といった場合などです。
望んでいることと不満なことが入り乱れていて、
どうしたらいいか分からない。
「困っていること」は沢山あるのに、
「変えたいこと」が決めにくい状況と言えます。
このように、「困っている」から
「変えられると望ましい」と思っていたとしても、
それがすぐに「変えたい」ことには
結びつかないケースも沢山あるのです。
つまり、「変えられると望ましい」という表現の中には、
目標のように「変えたい」ことがすぐに思いつくものも、
悩みごとのように、何を変えれば良いかが
分からないようなものも含んでいるわけです。
カウンセリングの目的
「変えられると望ましい」ことを相手から聞きだしながら、
「変えたい」ことを特定していく作業が『カウンセリング』に当たります。
これがカウンセリングの定義ということではありませんが、
そうやって捉えていただくと、
他のコミュニケーション技法との差を理解しやすいと思います。
なお、世間一般で『カウンセリング』と呼ばれるものは、
「話を聞く」とか「相談する」といったイメージに近いようです。
日常生活においても、『カウンセリング』という
言葉を耳にすることは少なくありません。
整体や歯科医、美容院、化粧品売り場でも、
カウンセリングという呼び名で情報収集がなされることがあります。
ここでは主に、現在の状態や希望していることなどが聞かれますが、
多くの場合が定型の質問シートに沿って進められるようです。
ですから、歯科医が患者の「変えたい」ことを
確認した上で治療を進めてくれるとしたら、
他一般とは随分違った魅力を発揮するような気がします。
まず、現状で一番困っていることは何なのかを明確にして、
その日の治療が終わって帰るときに、どうなっていたいかを確認する。
最終的な希望を把握することも重要ですが、
「その日の帰りに、どうなっていたいか」を
確認する作業は見過ごされがちで、
とても大切なことです。
心理相談の場合には重要視される部分です。
この確認によって、「変えたい」ことの中でも
優先順位が高いことを明確にしやすいのです。
また、一般的にカウンセラーと呼ばれる仕事では、
しっかりと「話を聞く」ことが重視されます。
傾聴という言葉に表されるように、
積極的に耳を傾けていくわけです。
ここには、悩み苦しんでいるクライアントの
気持ちを受け止めようとする姿勢が感じられます。
施術やサービス、商品提供の前になされる
カウンセリングと比べると、
悩みに共感しようという度合いが高まりますが、
それは関わる相手の違いによるものでしょう。
心の悩みの相談に来る人に対しては
要望を聞きだす目的の会話だけでは
不十分なことも出てくるはずです。
悩みの大きいときには、様々な要望と不満が入り乱れていて、
本人の中でも優先順位がつけにくいことがあるものです。
何より、感情的なわだかまりがある場合には、
その気持ちが前に進もうとする意欲を妨げます。
わだかまりが残っているものは、
話をする本人にも意識されないことが多々あります。
心の奥底に追いやられた不満は、言葉にされにくいわけです。
しかし、その気持ちを解消してからでないと前に進みにくいこともある。
カウンセラーの力量の1つは、この部分に反映されます。
言葉にされていない感情のわだかまりを、表情や声のトーン、
しぐさ等から読み取るのです。
そして、わだかまりがスッキリするような手伝いをする。
技術的には「共感的な言葉がけ」ということになりますが、
とても高度なコミュニケーションと言えるでしょう。
以上をまとめると、悩みが大きい場合には共感的な
コミュニケーションによって力づけをしながら、
「変えられると望ましい」ことを会話で整理して
「変えたい」ことを明確にする作業
これが『カウンセリング』となります。
何を変えていきたいかを、
話す側と聞く側の両方の間で共有して確認するのです。
これが『カウンセリング』の大切な目的です。
「変えたい」ことを変えるためのサポート
とはいえ、キャリアカウンセラーであれば職業支援の
方向でサポートをすることもあるでしょうし、
スクールカウンセラーであれば生徒の悩みが
解消するように援助することもあるでしょう。
私が実際にカウンセリングをするときも、
何を「変えたい」かを特定して終わりになるわけではありません。
「変える」ための心理的なトレーニングを行います。
このような説明の仕方をしたのは
「変えたい」ことを特定する段階と、
それを変えるための方法を提供する
段階とは別物と考えた方が堅実だからです。
つまり、カウンセラーは『カウンセリング』の
作業だけをして終わりなのではなく、
その後に解決のためのお手伝いもしているということです。
同様に、世の中の商品やサービスは、
顧客の「変えたい」ことを望んだ
方向に変えるためのものと言えます。
これまでに挙げてきた整体や歯科医は、
体の痛みを快適な状態に「変える」ことをしています。
美容院や化粧品は、本人のイメージする美しさの方向へ
「変わる」ためのものでしょう。
コンサルタントはビジネスが上手くいくように
「変わる」ためのアドバイスをするのが仕事です。
塾や教材は、勉強ができるように
「変わる」ためのサービスでしょうし、
飲食店は食欲が満たされた状態に
「変える」ためのサービスと言えるでしょう。
趣味や娯楽も、内面的な満足感を高める方向に変えてくれます。
不満や困りごとを解消する方向でも、欲求や願望を満たす方向でも、
「変える」ために役立つことが商品やサービスとして成り立っているわけです。
ですから、「変えたい」ことを特定する作業は、
どのような仕事においても役立つと考えられます。
ポイントになるのは、自分の提供できる専門性が、
顧客の「変えたい」ことに役立つかどうかでしょう。
例として、新しい仕事を取るための
プレゼンをすることになった人のことを考えてみます。
人前で話すのに自信がない、と。
「変えられると望ましい」のは、
自信がないことだと言ったとします。
だからといって、プレゼンを辞退するつもりはない。
プレゼンは成功させたい。
ただ、上手く話せる自信はなく、
悪い印象を与えてしまうのも困る。
カウンセリングの結果、「変えたい」ことは、
堂々とした印象を与えたいという方向だと確認できました。
それに対して、話し方教室の先生であれば、
声の出し方や話の構成などを指導できるでしょう。
イメージコンサルタントなら服装や姿勢などでしょうか。
アロマセラピストなら自信やリラックスに
役立つ香りを教えてくれるかもしれません。
そうした商品・サービスの中から、
本人にとって最も望ましいものが選ばれるはずです。
ところが、実際には「変えたい」ことを把握するための相談は、
あまり丁寧になされていないように感じます。
どちらかというと
専門家が自分の目で判断して商品やサービスを提供するケースが多い。
もしくは、顧客が自分で判断して商品・サービスを選ぶか。
先にも述べましたが、「変えられると望ましい」ことと
「変えたい」こととは別物です。
「変えたい」ことを特定するまでには、
欲求や不満を整理していくプロセスが求められます。
だからこそ、しっかりと「変えたい」ことを確認してもらえると、
本当に求めているものが得られるわけです。
NLPを受講された方の中からは、
こうしたカウンセリングの技術を活用して、
潜在的なニーズに合わせた商品
サービスの提供で業績を上げた話も耳にします。
『カウンセリング』によって
「変えられると望ましい」ことを整理して
「変えたい」ことを明確にする。
そして「変えたい」方向に「変える」ための関わりをする。
専門家の商品やサービスは、
この「変える」ための関わりの1つというわけです。
コーチングとブリーフセラピー
「変えたい」ことが明確になった後で、
さらに細かく内容を確認していくプロセスも役立ちます。
具体的に、どのようにして「変えたい」ことを実現していくか。
ここを詳しく扱うのが、コーチングやブリーフセラピーと呼ばれる
コミュニケーション技法の強みでしょう。
「変えたい」方向性が決まったら、
そのために何をしていくかという行動の内容を考えるのです。
そして実際に行動を変えていく。
コーチングは目標達成のサポートという印象が強いようですが、
コーチングで困っていることを扱わないのではありません。
むしろ、コーチングのクライアントによっては、
目標に向けて順調に進んでいくうちにテーマが
本質的な問題にシフトしていくこともあるものです。
また、目標に向かって進もうとする中で
上手くいかないことが見えてくれば、
それもまた「変えたい」こととして意識されてくるでしょう。
目標を扱うことだけをコーチングなのではなく、
積極的に進んでいくサポートをするのが
コーチングだと捉えるほうがイメージは近いと思います。
そこには、新しく何かを始めたり、
継続的な努力をしたりすることが含まれます。
「変えたい」ことを積極的に変えるように取り組んでいくのです。
ブリーフセラピーについては詳細を省きますが、
会話を中心とした心理療法の
手法だと考えていただければ良いでしょう。
悩みの中心になる行動や感情のパターンを
「変える」ための取り組みを進めていきます。
行動を変えるという点ではコーチングと近い部分もあります。
ただ、劇的な新しい努力をしないのが特徴です。
コーチングが積極的な変化を意識するのに対して、
ブリーフセラピーでは無理のないように、
困っている部分だけを変えようとするのです。
いずれにせよ、意識的な努力で
行動を変えていくことになります。
それにはモチベーションが必要です。
コーチングの場合は積極的に行動変化を進めていきますから、
より高いモチベーションが求められる。
当然、コーチングではコミュニケーションを通じて
ヤル気を高める工夫も盛り込まれることになります。
ブリーフセラピーのように無理のない変化を求める場合には
「これぐらいなら確実にできる」という範囲に絞り込みます。
キッカケは小さなものでも良いのです。
小さなステップから変えていく。
これも「変えたい」方向に進んでいくときの
1つのコツと言えるでしょう。
ここまでで、本人の力で変化を
進めていくための流れをまとめます。
「変えたい」方向に進んでいくために、
「変える」行動内容を確認する。
そして、できる範囲で行動を変えていく。
これが変化のための一般的な流れになります。
心の癖を変えるには
分かってはいるけど、できない。
ブリーフセラピーでは、
このパターンを変えるための
工夫を話し合うことになります。
できるだけ負担のない小さな変化で、パターンを変えようとする。
これぐらいなら確実にできるという範囲で
パターンを変える方法を考えるわけです。
よく使われるのは、例外を探すという発想です。
ギリギリまで追い込まれないと作業を始められないというパターンに対して、
そうでなかったときのことを考えてもらう。
その結果、高校時代には毎日コツコツと
トレーニングを続けていたことが思い出されたとします。
そうしたら、その経験を元に工夫を考えてみる。
そこから、一日の中で時間帯を決めて5分だけやれば良さそうだ、
といったようなアイデアを探していく方法です。
このように会話を通してパターンを変える方法を
見出していく質問の技術もNLPの中に含まれます。
また、コーチングやカウンセリングの流派によっては
、相手のパターンを生み出している考え方や信念
(「ビリーフ」と呼ばれます)にアプローチする方法も用いられます。
例えば
「お客様と話をしようとすると
緊張してしまって上手く話せない」というパターンを変えたい人が、
「お客様との話が上手くできないから
営業成績が悪い」という考えを持っていたとします。
この場合
「話が上手くできないことが
営業成績の悪い理由だと、
どのようにして分かりますか?」などと聞きます。
「営業成績の理由は、他にもあるかもしれない」と
間接的に伝えているわけです。
もっと直接的に、
「話下手でも人柄と聞き上手で、
営業成績を上げているセールスマンもいますよ」と伝えて、
思い込みを緩める方法もあります。
「断られることを想像すると、
訪問に気が引けてしまう」というパターンであれば
「営業のポイントは、上手な断られ方をすることですよ」など
発想を拡げるような言葉をかけてみる。
「上司から厳しく問い詰められると萎縮してしまう」のなら、
「期待さえしていない人に対しては、
質問だってしてこないのではないですか?
不器用ながら、あなたを気にかけてくれている
部分はあるのかもしれませんね。」など。
ものの見方を拡げる言葉によって、
パターン化された反応をゆるめるわけです。
NLPでは、『リフレーミング』と呼ぶ技術です。
変化のためのコミュニケーション
このように、パターン化された
「分かってはいるけど、できない」、
「ついついやってしまう」
行動や感情の反応を変える方法がNLPの強みの1つです。
ここで紹介したのは言葉を用いた技術ですが、
NLPではイメージを活用しながら反応の
パターンを変える方法を沢山扱います。
コミュニケーションの技術の中で比較をしながら、
以上をまとめてみましょう。
まず、「変えられると望ましい」ことが出発点です。
悩みでも、困っていることでも、改善したいことでも、
目標でも、「変えられると望ましい」ことは、
本人の様々な気持ちと結びついています。
そこで、考えと気持ちを整理しながら
「変えたい」ことに絞り込む必要が出てきます。
この「変えたい」ことを見つけ出す作業までが
『カウンセリング』の大きな目標です。
「変えたい」ことだけ特定して
終わるわけではありませんから、
次は、どのようにして「変えたい」ことを
実際に変えていくかを扱います。
専門家は「変えたい」方向に進めるように、
商品やサービスを提供する。
一方で、変えるための方法を話し合う技術もあって
そこに強みを持つのが『コーチング』です。
ところが、「変えたい」ことが決まっても、
「どうしてもできない」、
「ついついやってしまう」という反応のパターンが
問題になるケースがあります。
本来、『セラピー』と呼ばれるものの強みは、
この範囲にありますが、カウンセリングやコーチングにおいても
パターンをゆるめるための技術が用いられます。
こうしたパターンを変える技術を、簡単な手順で
バリエーション豊富に持っているのが『NLP』です。
「変えられると望ましい」状態から、「変えたい」ことを特定し、
変えるための方法を進めていく。
今回は、この流れの中で、
どの部分に強みがあるかによって特徴を整理してみました。
NLPはコミュニケーションの方法として説明されることがあります。
もちろん、NLPは人に影響を与えることのできるものですから、
人との関わりが大切な要素ではあります。
しかし、話し方を学んだり、人と接するときの
心構えを学んだりするタイプのものではない気がします。
明らかに、人が変化するための方法という意味合いが強い。
そして、その過程を体験していくことで、
人に対する理解が深まっていくところもあるようなのです。
人とは一体どういうものなのか。
人は、どのようにして行動や感情を決めているのか。
人は、その人らしさをどうやって作り上げていくのか。
…そういったことが、なんとなく見えてくるようなのです。
何より、変化するための方法を自らが体験し、
他者の変化のサポートをするプロセスが、
「人は変われる」ということを実感させてくれます。
人には可能性がある。なんとなく大丈夫な感じがする。
そんな良く分からない自信を感じられるときもあるようです。
どこか人というものに肯定的な印象を高め、
自分と他人の違いが当然のことのように思えてきたとき、
あの人の振る舞いにも興味が持ててくるかもしれません。
違うことが良いものに思えてくる。
人が好きになる。
そのとき、他者への接し方は、
随分違ったものになるでしょう。
NLPがコミュニケーションに役立つというのは
そういうことだと思うのです。